号外 feastrex試聴記
昨日、山梨県の韮崎市にある㈱アイ・ビー・アイさんで、feastrexの励磁型SPの音を聴いてきました。(励磁型スピーカーとは、振動板を動かすための磁気回路に、電磁石を使ったスピーカーのことをいいます。詳しくはググッてください)
IBIさんに到着。車で一時間程度でした。
最初は、NF-5(S10C鋼)5インチユニットを用いたSPシステムの音についてです。(といっても、SPの存在が完全に消えているので、最初はどのSPが鳴っているのかまるで分かりませんでしたw)
赤い色のSPです。バスレス形式でした。穴は後ろ側です。
励磁型の中ではもっとも安価なユニットだそうです。
音を出していただくと、
音の鮮度、スピード感がすごい!。ハリもあって、なんて生々しい音!。これは、今までに聴いた事の無いレベルです。ベール感をまったく感じません。歪感も無く、音の消え入りも最後まで濁りません。
音場の奥行き感にも驚きました。SPの5mも奥からも音が聴こえてきす!。オーケストラをかけていただくと、ステージから15mぐらい離れたところで聴いているみたいでした。定位と解像度が良いので、それぞれの演奏者の位置や奥行きまで分かって、演奏者の姿がちらちら見えました。エコロケーション初実感ですw。感度の良い人だとすごく見えるんだろうなぁ~。
開発者の秋山氏も「音場が深いのは励磁型SPの特長だ」とおっしゃっていました。また、音場は励磁電源の電圧を高くすると前に出てきて平面的になり、電圧を下げると後ろに下がって音場が深くなる、という励磁型ならではの調整が可能なのが面白いところでした。クラッシックは電圧を低く、ロックは電圧を高くすると面白く聴けました。
低音も良く出ています。5インチのユニットから出ている低音とは思えません。迫力があり、且つ良く締まっています。SPに近づいてみるとコーンが激しく動いているのが分かります。それなのに低音がボケていません。
コーンには人間国宝の和紙漉き職人が漉いた和紙が用いられていました。繊維の
重なり方向が360度均等で、方向によって強度のばらつきが無く、強靭で軽い事が採用の理由だそうです。
805Dはほとんどコーンの動きが見えないのに、励磁型は激しくストロークしていることが印象的でした。小さなユニットでも豊かな低音が出ているのことに関係がありそうです。
また、LPレコードのアナログ音源とCDとの音質差がはっきりと出ました。
アナログの音は抜けが良く艶やかなのに、CDをかけると一聴でカサついた乾いた音になるのが分かります。
CDでもDSDを焼いたディスクの音は、カサつき感が無くアナログに近い艶となめらかさ、抜けの良さが出ていました。
やはり人の聴感はWAVとDSDの分割数の差を聞き分けてしまう感度があるようです。最近はWAVで充分と思っていましたが、もう一度DSDに取組まなければならないと感じてしまいました。
気になる点としては、少々音像が大きくなるところでしたが、かなり大音量で聴いていたので無理からぬところでしょうか。
試聴後の技術的な説明では、励磁型は電磁ブレーキが良く効くため、マグネット型のSPに生じるコーンの動き過ぎ(行き過ぎ)が無く、正確で鮮度の良い音が低音から高音まで出すことができるとのことでした。
コーンがあれほど激しく動いても低音がボケない理由はこの点にあるようです。
次に、NF-5ex-PIPを用いたSPシステムの試聴です。(こげ茶色のSPです)パーメンジュールという透磁率(Q)が2万もある素材(S10C鋼は4000、アルニコが5、フェライトが1だそうですw。桁が違いすぎるw)を用いています。一番グレードの高いユニットだそうです。透磁率が高い素材を用いると、より高い磁束密度の中でユニットを作動させることができ、リニアな駆動ができるとのことでした。
音の印象は、先ほどよりさらに高解像度、高鮮度になりました。励磁型SPユニット全般に感じたことですが、音の鮮度はすごいのですが、少し圧迫感を感じます。エネルギー感が強すぎるとでもいうのでしょうか。この点は励磁電源の電圧の調整で修正が可能だと思います。(このとき電圧は高めでした)
最後に、NF-9ex(9インチ)のユニットを用いたSPシステムの試聴です。
コーンが大きいためか、コーンのしなりを感じました。その分5インチユニットに比べて柔らかな音になっています。スピード感(鮮度)は少し交代しましたが、個人的にはこのくらいでも良いなあと思えました。シンバルの金属音・素材感がチョ~リアルで、笑ってしまいましたw。
トランスのコアにはファインメットが用いられていました。やはり、音声信号に用いると音が痩せるので、電源ラインにしか用いていないとのことでした。ノイズ取りの原理は、ファインメットがノイズ(電子?電磁波?)を熱に変える働きによるもので、ファインメットを薄く積層することでその効果が高まっているとのことでした。また、銅線の巻き方にもこだわりがあるようでした。
コンデンサーによる位相の狂いにも注目されていて、パナソニックのFCタイプが聴感域での位相の狂いが少なく良いとのことでした。
と、こんな感じでしたが、大変面白い試聴でした。秋山社長ありがとうございました。
励磁型SPには、しばらく手が出ませんが、マグネット式のSPで励磁型の鮮度に近づけるべく、色々弄りたいと思います。
以下、秋山社長への技術的なインタビューですw。
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